低めの枕で睡眠時無呼吸を防ぐ
また、冬は空気が乾燥して、鼻づまりが起こりやすいため、睡眠時無呼吸が悪化しやすい。この病気は昼間に眠気が出る病気として注目されたが、最近は、血圧が乱高下して突然死を起こす危険性のある病気という考え方が強くなっている。
「睡眠時無呼吸のある人は、呼吸が止まっている間は低酸素状態となり血圧が上昇します。この血圧の乱高下によって、心筋梗塞や脳卒中の危険性が生じるのです。睡眠時無呼吸を予防するには、フラットで低めの枕がおすすめです。寝返りしやすくなることで、無呼吸が軽減されるからです」(同前)
また、高齢者はトイレで排便中、いきんだときに血圧が急上昇し、脳卒中を起こすことがあるが、実はこれと同じ現象が、おしっこを我慢しているときにも起こっている。
「ギリギリまでおしっこを我慢すると、200ぐらいまで血圧が上がることがあります。その状態でおしっこをすると、今度は血圧が急に下がり、失神するケースもあります。ですから、なるべく我慢せずに、トイレは早めに済ませるようにしてください」(同前)
半身浴は医学的に根拠がない
高齢者はお風呂の入り方にも注意してほしい。冬場、裸で寒い風呂場に入ると血管が縮み、血圧が急上昇するが、湯船につかって温まると、今度は過度に血圧が低下する。実は、この風呂場での血圧の乱高下が危ないのだ。池谷医師が続ける。
「湯船で血圧が下がると脳血流が減少するので、失神状態になって溺れることがあります。とくに降圧薬を飲んでいる人は、血圧が急降下しやすいので要注意です。脱衣所や風呂場が寒くなり過ぎないよう、暖めてからお風呂に入るようにしてください」
読者の中には全身浴でなく、体の負担が少なく、温まるとされる半身浴を実践している人がいるかもしれない。だが、これも医学的には根拠がないという。前出の岡田医師が話す。
「お風呂の入り方で、これが効果的という科学的なデータはないのですが、半身浴だとなかなか温まらないので風呂に入る時間が長くなり、高齢者ではむしろ体の負担が増えてしまいます。とくに冬は風邪をひいてしまうだけなので、半身浴はおすすめできません」