いまなお熱い“陰陽師”ブームの火付け役、夢枕獏さんの「陰陽師」シリーズがこの度あらたに映画化される。監督と脚本を務めた佐藤嗣麻子さんは、原作者の夢枕さんとは40年の付き合いだという。

「獏さんのファンだったので、講演会に行ってファンレターを渡したんです。それがきっかけで、獏さんのSF関係の集まりにも呼んでいただくようになって。まだ『陰陽師』が書かれる前のことですね」

 交流は続き、いつか「陰陽師」を撮ると約束もしていたというが、今回それが叶った。

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佐藤嗣麻子監督

『陰陽師0』は、稀代の陰陽師・安倍晴明がまだ陰陽師になる前の学生(がくしょう)時代が舞台。のちに晴明のよきバディとなる雅楽の天才・源博雅との出会いも描かれ、晴明役を山﨑賢人さん、博雅役を染谷将太さんが演じる。

「原作の安倍晴明はもっと年齢が上で、どこか達観したところがありますが、若い頃にすることで晴明なりの悩みや苦しみ、それを乗り越えていく姿を描きたかったんです。

『陰陽師』といえば晴明と博雅の関係性も肝なので、そこはもちろん大事にしました。原作にない2人の出会いを描く際も、原作でやらないだろうということはしていません。獏さんも、2人のあるやりとりのシーンで『泣いちゃったよ』と言ってくれました」

 授業をさぼってばかりの晴明は、“狐の子”とも噂され、陰陽寮でも一匹狼的な存在だ。貴族である博雅は、想いを寄せる女性を助けるため、学生の晴明にある依頼をする。

「山﨑君は、飄々としていて、生活感がないんです。そこがとても晴明に合っていると思いました。アクションも、呪術を使う晴明らしく、重力を感じさせない、宙に浮いているような感じを出すようにしました。染谷君もとても自然体で、飄々としているところは山﨑君と似ているのですが、もう少し地に足がついている。博雅が晴明に振り回されるというのは、本人たちも同じかもしれません(笑)」

©2024映画「陰陽師0」製作委員会
配給:ワーナー・ブラザース映画

 再現された平安京に、呪術の演出など、迫力のある美しい映像も見どころだ。「ゴジラ-1.0」で第96回米アカデミー賞視覚効果賞を受賞した白組が中心となって本作のVFXを手掛けている。

「もともと『ロード・オブ・ザ・リング』や『ゲド戦記』のようなファンタジーが好きなのですが、あれって魔法の世界ですよね。それを日本を舞台に描くと呪術になる。私は呪術オタクなので、今回呪術監修をお願いした加門七海さんにも『ここまで本格的にやるんですか』と驚かれました(笑)。原作でも晴明がよく「呪(しゅ)」とは何かと話していますが、呪とは、呪術とは何か、堪能していただけると嬉しいです」

さとうしまこ/1964年生まれ。岩手県出身。ロンドン・インターナショナル・フィルム・スクールにて映画制作を学ぶ。監督作品に、『ヴァージニア』(92)、『エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS』(95)、『K-20 怪人二十面相・伝』(08)、『アンフェア the answer』(11)、『アンフェア the end』(15)など。他、映画やドラマの脚本も手掛ける。

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映画『陰陽師0』
4月19日公開
https://wwws.warnerbros.co.jp/onmyoji0/