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加えて、被災者や被害者のつらさを、まるで「自分事」のように感じることもありますよね。本人の認識では「人を心配している」状態ですが、それは実質、「自分の痛み」になっています。感情移入の力が働きすぎて、他者の苦しみまで一緒に苦しんでしまうのです。「やさしさ」は繊細な人の美点ですが、度をすぎると、心身をさいなむこともあります。

では、劣等感についてはどうでしょうか。これは一見、自分一人の内面で起こることのようですが、実は「人間関係」に入ります。劣等感は、一人では生じないからです。人と比べるからこそ「私はダメだ」「劣っている」という悩みになるのです。

ですから、劣等感を持つ人はきっと、「人に会うのがおっくう」とか、「自分より優れているに違いない人と接するのは緊張する」といった気持ちも、日々感じているはずです。

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このように、多種多様に枝分かれしている悩みも、元をたどれば三つだけ。この三つとどう取り組むか、さらに見ていきましょう。

なぜ「大金持ち」は幸せそうに見えないのか

お金と、健康と、人間関係。私たちの時間を奪う「悩み」の元は、この三つです。この三つの悩みのうち、一番解決しやすいものはどれでしょうか。

お金は、なかなか手ごわいです。お金を得るのが大変だから……ではありません。大変な人も、そうでない人もいるでしょうが、そこは本質ではありません。お金は、「得たところでそれだけでは幸せにならない」。だから難題なのです。

お金があれば、生活の不安が軽減されることは確かです。お金が多ければ、人生の選択肢が増え、贅沢もできたりするというメリットはあります。

一方で、お金は、あってもなかなか100%の満足には達しないものです。あったらあったで、「もっと、もっと」という思いが強くなる人もいます。となると当然、「幸せ」は感じづらくなります。どんなに増えても同じです。「お金があるから完璧に幸せ」と言っている人に、私は会ったことがありません。