380円のデザートを頼んで、それを10人で分けた客も…

 ただ、これは有名人の店の性(さが)なのか、ウチの場合、あまりお客さんは並んでくれないのだ。これは「俺が常に店にいる」ということをアピールしているからかもしれないけれど、「すみません、今は満席です」と言うと、たいがいのお客さんが「じゃあ、また今度来ます」と並ばずに帰ってしまう。

「いつ来ても、川田選手はいるんでしょ?」

 だったら、わざわざ今日並ばなくても、今度、空いていそうな時にまた来ればいい、ということらしい。このあたりはなんとも難しいところだ。

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 もうひとつの理由としては、安いサイドメニューだけ頼んで長居をするお客さんが少なからずいるため「必ずラーメンを注文してください」とお願いしている。もちろん自慢のラーメンを食べてほしいという気持ちもあるんだけど、居酒屋感覚で来られてしまうと困る、というのが本音だ。

 極端な例では、380円のデザートを頼んで、それを10人で分けて食べる、ということが実際にあった。ひとり頭38円だ!

 こういったケースの多くは俺のファンだった人で、あれこれ話をしたいから、カウンターに座って、けっこうな時間、粘られる。それをやられてしまうと、文字どおり、こちらとしては「商売あがったり」だ。いちいち注意して、お互いに嫌な気持ちになるぐらいだったら、最初からルールを決めてしまったほうがいい、というのが俺の考え方です。読者の皆さんには想像がつかないかもしれないけど、飲食の商売をやっていると、信じられない言動をする人が来るのだ。