受験への異常な執着や愛息への過剰な期待。どうやら母と息子の関係という意味で、身につまされる思いで注視した「男子中高生」が少なくなかったようだ。その一方で「女子中高生」はそうでもなく、むしろ「西園寺さんは家事をしない」で2位という実態が興味深い。この見られ方の違いが、今も日本の親子関係に残る一側面なのかも知れない。

ちなみにフジの4ドラマだけでなく、「スカイキャッスル」も最初の3日間で見逃し配信の再生数が126万回と大記録となった。これらの現実はどう受け止めるべきだろうか。

どうやらドラマ番組を正しく評価するには、「65歳以上」に左右される「個人全体」などの視聴率だけでは不十分なようだ。

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「ビリオン×スクール」や「スカイキャッスル」のように、全体としてそれほどでなくても、ある特定の層に強烈に見られるドラマは、ネット上で新たなビジネスにつながる可能性を持つ。これまでマスを追ってきたドラマは、特定の一部を引き込むことで成功する新たな時代へと突入したようだ。

鈴木 祐司(すずき・ゆうじ)
次世代メディア研究所代表 メディアアナリスト
愛知県西尾市出身。1982年、東京大学文学部卒業後にNHK入局。番組制作現場にてドキュメンタリーの制作に従事した後、放送文化研究所、解説委員室、編成、Nスペ事務局を経て2014年より現職。デジタル化が進む中、業務は大別して3つ。1つはコンサル業務:テレビ局・ネット企業・調査会社等への助言や情報提供など。2つ目はセミナー業務:次世代のメディア状況に関し、テレビ局・代理店・ネット企業・政治家・官僚・調査会社などのキーマンによるプレゼンと議論の場を提供。3つ目は執筆と講演:業界紙・ネット記事などへの寄稿と、各種講演業務。