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経営者にも弱い面があることをたくさんの方に知ってほしい

諏訪 「私は心も身体も強い!」と思っていたから、まさかの診断にびっくりしましたね。でも、だからこそ身体のケアをするように、心のケアも大事だな、と思うようになりました。

 アメリカだと、経営者がカウンセリングを受けることが“当たり前”とされています。でも、日本ではまだ浸透していなくて。「経営者がカウンセリングを受けている」「心療内科に通っている」と言うと、「あの会社は大丈夫か」と不安視されてしまうことも少なくありません。だから、辛くても誰にも相談できないし、病院にも行けない経営者が実はたくさんいるんじゃないかな、と思うんです。

©山元茂樹/文藝春秋

 経営者にだって、弱い面がある。心身の調子を崩すこともある。それを、もっとたくさんの方に知ってほしいんです。

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――実際に諏訪さんは、自身の書籍やインタビュー記事などでもパニック障害を患っていたことや、治療をしていたことなどを告白されています。

諏訪 「経営者は強い人しかなれない」ってイメージが横行しているなら、誰かがさらけ出す必要があるなって。弱い一面があってもやり方次第でなんとかなるし、さらけ出しても意外と大丈夫ってことを、私を通じて知ってもらえると嬉しいです。そのために、私は本を書いたり、苦手な講演をしたりして、発信を続けていると言ってもいいかもしれません。

中小企業が活気づけば、日本はもっと元気になる

――それが、今の諏訪さんのやりたいことなのでしょうか?

諏訪 そうですね。こういう世の中ですから、さらに孤独感を持つ経営者は増えていくと思います。経営者も、気軽にメンタルケアできる場を提供したい。実は、「心理カウンセラー」の資格も持っているんですよ。従業員のメンタルケアをできるようになりたくて取った資格ですが、経営者だってメンタルケアは必要ですから。

 あとは、日本の中小企業をもっと元気にしたい。現在、内閣官房の『新しい資本主義実現会議』に、事業承継や中小企業経営に関する有識者として参加しています。この機会をできるだけ活かして、少しでも中小企業の発展につなげていきたいですね。

©山元茂樹/文藝春秋

 また、日本には世界に誇れる技術を持った中小企業が、本当にたくさんあります。SNSやYouTubeを活用して、そんな日本の中小企業の魅力を世界に発信していきたい。私が生まれ育った、ダイヤ精機のような町工場の魅力がもっと世界に広まれば、中小企業が活気づく。そして日本はもっと元気になる、と思っています。