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存在感で勝負する女優
悲報を知った山田洋次は、当時こんなコメントを出した。
「寅さんシリーズで2回登場してもらいましたが、本当に魅力的なマドンナでした。キラキラ光るまなざしや、独特の甘い声にはスタッフまでがうっとりしたものです。暫くスクリーンやテレビから遠ざかっていたので、どうしたのか、お元気なのだろうか、と心配していた矢先なので、ただただ驚いています。とても悲しいです」
山田監督は芝居に向き合う大原の真摯な姿勢を高く評価していた。大原はスケジュール過密な売れっ子だったが、九州ロケ(第34作「寅次郎真実一路」)の時などは1週間じっくりと撮影に参加。スタッフには終始、協力的な態度で臨んだという。映画を見る人を大切にしたい。多くの人から支持されたい。そんな気持ちが強かったのだろう。
ファンの声を常に大切にし、ファンレターには自ら返事を書いたそうだ。「ファンとの手紙のやりとりが、演技のためになる」とまで話していたという。
没後、映画監督の降旗康男(1934-2019)はこんなコメントを寄せた。