距離が遠くなると、自動車で移動するのにも逮捕のリスクが伴う

 さらに6代目山口組は、対立状態にある神戸山口組に加えて、神戸山口組から再分裂した絆会と池田組の2組織とも対立状態にあるとして特定抗争指定暴力団にトリプルで指定されている。

 その結果、池田組の活動拠点の岡山市なども警戒区域に指定され、集会の会場候補はさらに限定されることになった。

 恒例行事への出席を含め、暴力団幹部は車で移動することが多いが、何気ない日常の外出にも警察当局の目が光っている。

ADVERTISEMENT

写真はイメージです(伊勢志摩サミットの時の警察官)©時事通信社

 たとえば暴力団関係者が高速道路でETCカードを利用すると、「ヤクザの身分を隠して利用した」として、電子計算機使用詐欺容疑で逮捕されることがある。

 ETCは料金の割引サービスがあり、警察当局内にも「わずか数百円、千数百円程度の割引で逮捕はやり過ぎ」との意見がある一方で、「どんな事件でも逮捕して取り調べすることに意味はある」と積極派の声も大きい。

 実際に、ETCカードの利用でこれまで少なくとも4人の直参が逮捕、起訴されている。刑事裁判の1審では3人が有罪判決を受けている。ある指定暴力団幹部は「今後は高速道路を利用するには、不便でも現金を持ち歩かねばならない」とこぼす。

 6代目山口組などはしばらく特定抗争指定暴力団の解除の見通しはない。遠方での会合を強いられるだけでなく、高速道路の利用にも気を使う生活は続きそうだ。(文中敬称略)