「あなたなんか産まれてこなければよかった」

 これは、ブログ「じぶんぽっく」を運営する後藤迅斗さん(30代)が5〜6歳の頃に父方の祖父母から言われた言葉だ。言葉の発達が遅かった迅斗さんは、この言葉に深く傷つき、それが長年のトラウマとなった。

後藤迅斗さん 本人提供

自己肯定感を持てずに育ち、パワハラに遭遇…

 迅斗さんの人生は、幼少期からの家庭環境の影響を強く受けていた。父親からのDVや、母親からの過剰な期待と暴言に晒され続けた彼は、自己肯定感を持てずにいたという。

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「母はプライドが高く、僕や妹を周りの子と比べたがりました。成績が悪いと『バカめが』と言って見下し、すぐに『あの子はサッカーが上手い』『あの子の方が勉強ができる』『あの子はモテる』と言って僕を貶めました」

1歳の後藤迅斗さん 本人提供

 このような環境で育った迅斗さんは、大学院卒業後に就職した自動車関連の大手メーカーでもパワハラに遭遇。「日常的に『若いのにガッツがない! ガッツを見せろ!』と言われる」「毎日必ず2時間の残業を強要される」などの苦痛を味わった。

 そして、ついに適応障害と診断され、休職を余儀なくされる。さらに2度目の休職時には「うつ病」と診断された。

うつ病で休職する前々日の迅斗さん 本人提供

「さよなら」というメッセージに次々返信が…

 しかし、迅斗さんの人生に転機が訪れる。ある日、思いつめた彼は友人・知人たちに「さよなら」とメッセージを送った。すると、予想外にたちまち返信の通知音が鳴り出し、止まらなくなった。110番通報してくれた友人もいたという。

「駆けつけてくれた後輩は、部活を一時期辞めたいと言っていて、僕がずっと相談に乗っていました。結果、卒業まで続けることができ、『おかげで大学生活を謳歌できた』と。その恩もあって駆けつけてくれたみたいです」

 多くの友人からの励ましに、迅斗さんは「僕はこんなにたくさんの人から愛されていたんだ……」と気づき、新たな一歩を踏み出す勇気を得た。

 現在、迅斗さんはフリーランスとしてブログ「じぶんぽっく」を運営し、「社会人の心の守り方」などについて発信している。彼の経験は、トラウマを抱えながらも成長し、自分らしい生き方を見つけていく人間の強さを示している。

「僕は、正社員でもフリーランスでも、どんな働き方であれ、『仕事は楽しいもの』であり、『自分らしく輝ける場所で得意を活かしたい』と思っています」という迅斗さんの言葉には、過去のトラウマを乗り越え、前を向いて生きる決意が感じられる。

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