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「過去の遺物」ポケベルの今 “第2の人生”防災ラジオへの転身ってどういうこと?

東京テレメッセージ・清野社長に聞く「ポケベル2018」

2018/07/23
note

防災ラジオは「声の出るポケベル」

 このポケベルは、いま防災行政無線に代わる防災システムに応用されて脚光を浴びている。その受信機が、あのポケベルとはまるで違うフォルムの、この「防災ラジオ」である(こちらは「1500台」にはカウントされない)。

 各自治体の拠点から発信した文字メッセージを受信し、音声でお知らせ。重要度が高いメッセージは、最大音量でお知らせすると同時に赤色緊急灯が点滅する。リピート再生もでき、通常のAM/FMラジオとしても使用可能だ。

東京テレメッセージの防災ラジオ

――以前のポケベルと比べて、防災ラジオで進化したこととはなんですか?

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清野 ポケベルで送るのはあくまで文字だけでした。ところが10年前から、受け取った文字を、音声として聞けるようになったんです。これが機械的な発音では無く、人の声のように自然に聞こえて。ポケベル復活のための大きな進歩です。以前は14文字送るのがせいぜいだったのに、今では最大で全角304文字まで送れます。これは、元総務省技官だったうちの技術者がプロトコルを作って、実現してくれました。

147万都市、京都の防災無線にポケベル波が採用決定

――京都市の防災無線として2019年3月から使われるようですが、京都市に受け入れられた要因は何でしょうか?

こちらは日光市の防災ラジオ

清野 日本で、国の規格である防災行政無線を入れていない自治体は全体の2割あるんですよ。350ぐらいある。全国の自治体は1740ほどありますからね。入れていないところに、大きな政令指定都市もあるんですよ。京都市、札幌市、福岡市、横浜市も。

 特に京都市は敦賀、美浜、大飯、高浜4つの原子力発電所に近く、3・11後にインフラ整備については急速に議論がなされるようになったようです。ところが防災行政無線を入れようとすると、意外と広くて山深いエリアですし、ざっと50億円以上のお金をかけても十分ではないんです。そこでポケベルの技術が注目された。こちらは10億もかけずに整備することができる。それではと採用されたのです。