決断する政治で経済は必ず復活する
私の問題意識 政治が決断しなかったツケ
この30年間、なぜ日本経済がここまで停滞してしまったか。シンプルに言えば、政治が決断すべきことを決断してこなかったからです。懸案のコメ政策がまさに典型ですが、長年変わらない賃金水準やGDP、国としての競争力低下もそうです。政治が決断をしてこなかったその累積が“失われた30年”をもたらしたといっても過言ではありません。
私の実家は兼業農家で、いまでもコメや麦を作っています。私も小さい頃はよく「田んぼを手伝え」と言われました。私自身は財務省に勤めていたこともあり財政や金融が専門ですが、国会議員になってからずっと取り組んできたのは、実は農政でした。
2018年に、1970年代から続けていた減反政策を廃止したと政府はいいます。農家に対して指定していたコメの生産数量目標の配分をやめて、「生産者自らの経営判断で需要に応じて自由に作っていいですよ」ということになった。ところが実際には農家対策として「転作補助金」を拡充したため、従来の収入を維持するかたちで飼料用などのコメの生産が奨励されるようになりました。それに伴って農林水産省が毎年、「適正生産量」を決定し、それに基づいて農協(JA)が「あなたはここまでですよ」と農家を指導しはじめた。実質的な生産調整を続けていたのです。

誰のための「減反廃止」だったのか
何のためかといえば、米価を維持することで農業者の所得を保障するためです。表向きは「減反廃止」をやったかのように見せながら、国の主導で人為的にコメの値段を高く据え置き、消費者にそれを負担させる。まさに政治的な決断をしない「減反廃止」でした。
2016年当時、自民党農林水産部会長として改革の旗振り役を務めたのが、現農水大臣の小泉進次郎さんです。彼の改革は完全に骨抜きにされて、名ばかりの減反廃止という結果しか残せませんでした。農協や農水族議員の抵抗があったというのは、国民からすれば言い訳に過ぎません。要するに、小泉さんはじめ、当時の自民党が決断できなかったのです。
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