評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。
先月、大型の台風19号が関東地方に上陸し、東北へと抜けた。被害は東京よりも地方の方が甚大で、これもまた“一極集中”の裏返しの現象なのだろう。都内は治水対策などに予算を割けるが、人口減、税収減に喘ぐ地方は災害から身を守る余裕すら失いつつあるのだ。
そんな地方をいかに逆境から救い出すか。佐々木信夫『この国のたたみ方』(新潮新書)は東京人口の2割“減反”を訴える。しかし東京から地方への人口移動を強制するわけにもゆかず、そこに住みたくなる地方の魅力化が不可欠だ。そこで著者は廃藩置県以来の都道府県制を止め、全国を10の州に分け、「市町村+州」の単位に再編する方法を推奨する。「九州州」は半導体産業の集積に強みがあるし、アジアへのゲートウェイになる地の利がある。「東北州」は一次産業の研究拠点になればいい等々…。州の広がりで考えると県単位では見えなかった地方の個性が見えてくる。
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source : 文藝春秋 2019年12月号