「今、人類に必要なのはラーメンと瞑想なんですよ」
自身がプロデュースする、東京・大塚の「宇野書店」に現れた宇野常寛氏にインパクトの強い書名について尋ねるとこんな答えが返ってきた。
『ラーメンと瞑想』は宇野氏と友人で編集者のT氏の2人による対話を描いたエッセイだ。2人は毎週水曜日の朝に集まって、ランニングと瞑想を行い、ラーメンやとんかつを貪り食い、対話する。

「ラーメンを食べるのと瞑想を行うのは一見対極ですが、どちらも人間の社交を一時停止できる時間です。ラーメンには“着丼”した瞬間から動物的に全力で向かい合うほかない。瞑想は社交のネットワークから切り離された自己と向き合う。この時間が我々に必要だったんです」
“中年男性”も一つの主題だ。
「我々も中年男性ですが、寂しい中年男性が現代の問題の多くを生んでいると思っています。昭和の『飲み会』を手放せない人も多いし、不必要なレベルの出社回帰も叫ばれていますが、単に中年男性が寂しいだけ。20世紀後半に生まれ育った男性は、家族や組織で自分より弱い人を庇護して、象徴的に“父”になる以外の自己実現を知らない。飲みの場やオフィスで弱い立場の人に忖度されたいんです」
トランプ現象や参政党現象も半分“男性問題”だという。
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