「海が走るエンドロール」たらちねジョンさんインタビュー

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「映画館に行くと、映画の内容より観客の反応が気になって仕方がないんです。いまのシーンをどう思ってみているのだろうか、と」

「このマンガがすごい!2022」オンナ編で1位となり、現在シリーズ8巻となる本書は、東京造形大学映画専攻領域を卒業した著者自身を投影した作品だ。

たらちねジョン『海が走るエンドロール』(秋田書店) 各693〜792円(税込)

「美大の予備校時代に、漫画家になるには物語や構成が学べる映画学科がいいのではないかと思い、志望を変えました。学生時代、自分に課した『映画館で年間100本映画鑑賞』は貫きましたが、漫画ばかり描いていましたね」

 大学を卒業して約10年。次の漫画の構想に悩んでいた時、編集者から「映画をテーマに、年齢を重ねた女性を主人公にしませんか」という提案を受けた。自身の母を重ね合わせ、65歳で専業主婦のキャラクターが誕生したという。

 夫を亡くした茅野うみ子は、数十年ぶりに足を運んだ映画館で、映画監督志望の美大生・濱内海(はまうちかい)と出会う。「映画作りたい側(こっち)なんじゃないの?」と指摘され、美大の映像科に入学、映画作りに没頭していく。

「うみ子さんは40以上、年が離れた若者たちと接しなくてはなりません。彼女は自分がその業界の赤ちゃんだと思っているから、先入観を持たず、自分の常識で人を説教しない人物にしようと造形しています」

 授業で出される創作の課題に対して、うみ子は葛藤しながらも、海やクラスメイトと協力しながら映画を作っていく。

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source : 文藝春秋 2025年12月号

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