就活や人事でも使われている「MBTIもどき」の危険性
「MBTI」と呼ばれる性格診断が今、若年層を中心に爆発的に流行っているのをご存じでしょうか。
インターネット上で無料で受けられる性格診断で、「定期的に新しい友人を作っている」「自分の生活と仕事の空間は、清潔で整理整頓されている」といった質問に答えていくと、自分がどのような性格かという診断が下されます。具体的には「INFP(仲介者型)」「ENFP(運動家型)」「ISFP(冒険家型)」「ESTP(起業家型)」「ESTJ(幹部型)」「ISFJ(擁護者型)」「ENTJ(指揮官型)」「ENTP(討論者型)」といった、アルファベット4文字による16の性格タイプ(診断サービスによっては5文字で32タイプ)のうち、どのタイプに当てはまるのかが示されます。
この数年、このような「MBTIもどき」(現在、流行っている性格診断は本来のMBTIとは異なるものなので、以下、「MBTIもどき」と呼びます)の社会への浸透を肌身で感じるようになりました。
若年層の間だけではなく、企業の採用活動や人事異動などにも、それらが使われ始めたからです。就職活動中に企業から面接などで「MBTIもどき」のタイプを聞かれた、企業説明会で社員たちのタイプがどのような比率になっているかを紹介する会社もある、といった話を学生から聞くようになりました。実際に私も企業紹介の動画で社員が自分の「MBTIもどき」のタイプを述べながら、仕事内容を紹介していくのを見たことがあります。
今、若者たちは自己紹介をしなければならない場面になると、「MBTIもどき」をよく使います。タイプ同士の相性診断もあるので、自分が所属するサークルやクラス、職場で関わる相手が、どのタイプなのかを気にする人も多くいます。就職活動に際して、自分のタイプに合うとされる職種や職業を選択することも学生の間では一般化しつつあります。

しかし、心理学者としてまず伝えたいのは、この性格診断は米国で発祥した本来のMBTIとはかけ離れた「MBTIもどき」であり、科学的なエビデンスはないということです。エビデンスが希薄でも、それをきっかけに会話が弾み、コミュニケーションの潤滑油になればいいじゃないか、そんなに目くじらを立てなくても、という人もいるでしょう。
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