薬と違って副作用がありません
うつ病と診断されるほどではないけれど、鬱々とした気分が拭えなかったり、意欲低下が続いていたりする。そんな「うつ状態(閾値下うつ状態)」に、世界人口の約11%が該当するとされています。
放置していれば労働生産性や生活の質の低下につながるだけでなく、うつ病に進行するリスクもその他の人に比べて3倍高いのですが、支援が行き届いていないのが実情です。
2030年には、うつ病が社会負担の最も大きい健康課題になると予測されており、予防治療のためには、誰でも手軽にストレス耐性をつけられるように“情報”を処方することが大事なのではないか――。
そんな発想から、私たち京都大学などの研究グループは、心理療法である「認知行動療法(CBT)」のスキルを学べるスマートフォンアプリを開発しました。そして、軽度うつ症状を有する成人約4000人にアプリでCBTの「五つのスキル」を検証する試験を行い、世界で初めて各スキルの効果を示すことに成功しました。

後述しますが、各スキルでうつ状態や不安の改善が認められたほか、薬と違って副作用がなく、持続性があることも確認できたのです。
今年4月には、成果をまとめた論文が国際学術誌「ネイチャー・メディシン」に掲載され、同時期に発表された世界の論文のうち上位1%に入る注目度となっています。
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