有働　水野さんとの最初の接点といえば、2015年末のNHK紅白歌合戦の総合司会をした私のことを、雑誌『Number』のエッセイで取り上げていただいたことでした。

　水野　あの時はすみません、勝手に書いて。有働さんが背中の大きく開いたドレスを着るということが放送前から話題になっていた年で、出演者の一人として舞台上でその背中を見つめた感慨を、「アナウンサーとしての真剣勝負に臨むその背中は、ただ美しく、尊く、格好よかった」などと綴ったのでしたね。

　有働　いま思い出しても感動しちゃいます。一介のアナウンサーが派手なドレスを着させられて悪目立ちすることを、出場アーティストの中にも快く思っていない方がいるのは半直接的に伝わってきていたので。

　水野　半直接って、ほぼ直接ということですよね。それはつらい。

　有働　ですから水野さんのエッセイを拝見して、「味方がいた！」と救われる思いがしました。

　水野　有働さんはNHK職員という立場で、主役じゃないのに主役の場所に立たされて、主役たちをまとめないといけない。その背中にはとてつもない緊張感が漂っていて、「すごいところで戦っているな、美しいな」と心底感動したんです。

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