漫才師の横山(よこやま)やすし(1944ー1996)、通称「やっさん」は、1966(昭和41)年に西川きよしと組んだ「やすしきよし」で大人気に。一方、多くの事件で世間を騒がせ、アルコール性肝硬変のため51歳で死去。吉本興業で最後のマネージャーを務め、現在は人材活性プロデューサーの大谷由里子(おおたにゆりこ)さんがその思い出を綴った。
美空ひばりさんの番組にゲスト出演したときのことです。演歌大好きの横山さんは大喜びだった。そのくせ「早めに出発しましょう」と約束していたのに、ホテルを出たのは、いつもよりギリギリ。道路が混んでいたら、スタジオまでは絶対に2時間はかかってしまう。そんなことは分かっているくせに、横山さんは例によって自分に都合のよいスケジュールを立てはるんです。
「大丈夫やろ、飛ばしたら絶対に1時間で着くはずや」

だが案の定、道路は大渋滞。そして、例によって彼のイライラが始まる。こうなると、ターゲットは気の弱そうなタクシーの運転手さんに絞られる。横山さんは身を乗り出して、怒鳴り、そして走行指示を始めるんです。
「なにトロトロ走っとんのや。もっとさっさと走らんかい」
「そんなこと言われても、道路は混んでますから……」
「あほんだら、信号が赤のときに、さっと前に出て抜かすんや」
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
初回登録は初月300円・1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
電子版+雑誌プラン
18,000円一括払い・1年更新
1,500円/月
※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 1998年12月号

