オールドメディアへの視線、トクリュウ記事に特ダネなし、エンマ様は本誌をどう読む?

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手練れの業界ウォッチャーが、新聞報道にもの申す!

★オールドメディアへの視線

 SNSの登場で揺らぐ存在意義をどう立て直すか。各新聞が向き合うべき問いである。答えの一つは自律性の確立だろう。自民党と日本維新の会の連立合意に盛り込まれた衆院の定数削減の試算をめぐる報道に、各社の違いが見えた。

 試算をいち早く報じたのは12月3日の朝日新聞朝刊。「小選挙区 東京3減大阪2減」との大見出しで、「削減対象の都道府県をまとめた自民党の試算が2日、判明した」と一面トップでスクープを放った。記事いわく「東京の3減を筆頭に、大阪とともに首都圏の千葉県、神奈川県がそれぞれ2減」「北海道から沖縄県までの16道府県が1減」として、47都道府県の表を載せている。定数削減の45議席のうち、小選挙区は25議席で、どの都道府県で減るのかは、有権者の関心事であり、早く報じる意義は理解できる。

 見事なスクープだっただけに各社は追いかけた。読売新聞は4日、日経新聞は5日、毎日新聞は6日の朝刊で、それぞれ同じ内容の試算結果を載せたのだが、朝日とそれ以外の社とは決定的な違いがあった。自民の試算を使った朝日に対し、追いかけた3社は自らの社の試算だったのだ。朝日は「複数の政権幹部が明らかにした」と書いており、新聞社同士の内輪の論理として、朝日は「他社よりも政権に食い込んでおり、試算の結果のペーパーを独自に入手した」と誇りたいのだろう。

 しかしである。SNS上では古くに発刊された新聞などは「オールドメディア」と呼ばれ、2025年の流行語にも選ばれた。その揶揄の背景には、既存メディアは、政党や政治家などの既存権力とグルになって、国民に伝えるべき情報を伝えていないという批判がある。各新聞は、政党や政治家などの権力側との距離感が厳しく監視されるようになったわけだ。政権に批判的なスタンスを取る朝日は、とりわけ権力側と距離を取ることが必要なはずだ。新聞への信頼感が高い時代なら、「ペーパーを入手した朝日には取材力がある」と評価されたのだが、今では「朝日は政権からリークされたのだな」と批判の対象になりかねない。

 厳しい環境が理解できているならば、自民の試算ペーパーを入手したとしても、自らが責任をもって試算し直し、記事の中で「朝日新聞が入手した自民の資料でも同じ試算だった」と付記すれば良いのだ。

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source : 文藝春秋 2026年2月号

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