藤井啓祐『教養としての量子コンピュータ』

第24回

橳島 次郎 科学技術文明論研究者
エンタメ サイエンス 読書

知の地平を広げる“新しい望遠鏡”

 2025年のノーベル物理学賞は、量子コンピュータの基盤開発につながった実験研究に与えられた。実用化に向けた研究開発が世界中で進められているという量子コンピュータだが、ではそれがどういう仕組みで動いて、今あるコンピュータと比べて何がそんなにすごいのか、難しそうで近寄り難い感じがしていた。そこに本書が出た。「教養としての」と銘打っているのだから、素人にもわかりやすく量子コンピュータについて専門家の著者が解説してくれるのだろうと期待して、読んでみた。

藤井啓祐『教養としての量子コンピュータ』(ダイヤモンド社)1980円(税込)

 結論から言うと、量子コンピュータの仕組みの基礎になる量子力学の原理については、本書の解説を読んでもやっぱりよくわからなかった。量子もつれとか量子の重ね合わせとか、あまりに日常の感覚とかけ離れていて、理解できなかった。自然界の根本を成すミクロの世界ではそうなっているのです、そう考えると自然現象をよく説明できるのですというので、これはもう、はいそうですかと受け入れるしかないものだと諦めた。著者が「おわりに」で仄めかしているように、数学を通じて見ないと、量子コンピュータの原理は理解できないようだ。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2026年3月号

genre : エンタメ サイエンス 読書