作家の角田光代さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。
子どものころに第2次世界大戦を経験した開高健は、戦争とは何か、戦争を起こす人間とは何であるのかを、身をもって知ろうとした作家だと思う。『輝ける闇』でも『歩く影たち』でもいいのだけれど、『戦場の博物誌』を選んだのは、ここに「玉、砕ける」が収録されているからだ。
概念や論理ではなくて、生々しく具体的に、人間と戦争の姿を、ここにおさめられた作品は捉えていると私は思うのである。なんとなく、この先、開高健みたいな独特の癖のある文章は、読まれなくなっていくのではないかと懸念している(実際彼のある著作は一度絶版になり、2018年に復刊している)。読み継がれていかねばならない作家であり、小説だと思う。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2020年1月号