変化する“タニマチ”文化と力士たちの「粋」

第64回

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 元横綱照ノ富士が率いる伊勢ヶ濱部屋。昨年6月に先代師匠の元横綱旭富士から名門部屋を継承した若き師匠が、この2月に暴力問題を起こし、処分を受けた。後援者を交えた宴席で、弟子の伯乃富士が酔って狼藉を働き、指導の意味も込めて伊勢ヶ濱親方が殴打したというものだ。春場所後に現場状況や処分内容が相撲協会のコンプライアンス委員会を経て発表されたのだが、まず「午前3時頃から六本木の会員制ラウンジで会合した」との一文に目が止まった。

処分を受け謝罪する伯乃富士(左)と伊勢ヶ濱親方 Ⓒスポーツ報知/共同通信イメージズ

 古くから、相撲部屋にとって物心両面を支えてくれる後援者は欠かせない存在であるのは否めない。かつて元大関朝潮の七代目高砂親方が、こう話してくれたことがある。

「師匠(元横綱朝潮の五代目高砂親方)が、『将来、横綱大関になった時に恥ずかしくないように』と、銀座のクラブや向島の料亭で、まだ若い自分に“遊び方”を教えてくれたもの。俺は人気があったから後援者から御指名を受けて同席することも多かったんだ。そりゃ楽しくはないよ。だから自分が師匠になってからは、弟子を部屋の経営のために宴席に連れ出すようなことはしなかったよね」

 元大関琴風の師匠は、豪快なことで知られる元横綱の琴櫻だった。

「店の仲居さんに『今日は何人いるの?』と、師匠は厨房の板前さんから何から全員に心付けを渡す。それもこっそりじゃなくて、わざと私の前でやるんです(笑)。今思うと『相撲部屋の師匠の交際術』を教えてくれていたんですよね」(元琴風)

 元横綱武蔵丸の武蔵川親方もいう。

「師匠(元横綱三重ノ海)は『30分だけ付き合ってくれ』と俺たちに言い、『明日も朝稽古があるので失礼させます』と相撲取りを先に帰らせてくれる。後援者は『明日も頑張れよ』と車代をくださり、その後は師匠がお付き合いし、翌日は稽古場にすっきりした顔で座ってる。弟子たちは二日酔いだなんて言っていられなかったんだよなぁ」

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source : 文藝春秋 2026年6月号

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