逆襲のルビオ マルコ坊やは家康になれるか

トランプ後継の暗闘 

冨田 浩司 前駐米大使

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逆転のシナリオはキューバ解放にあり

 11月の中間選挙を前にして、トランプ大統領の後継者が誰になるのかに注目が集まっている。いま急浮上しているのが、マルコ・ルビオ国務長官だ。なぜルビオなのか、前駐米大使の冨田浩司氏が分析する。

 4月11日(現地時間)、米国副大統領のJ・D・バンスは、パキスタンのイスラマバードでイランとの停戦を目指すマラソン交渉に臨んでいた。

 トランプ政権内で対イラン軍事作戦に最も慎重であったと伝えられるバンスが、難航する作戦の尻ぬぐいの役目を与えられたのは皮肉なことだ。全くのところ交渉前後の1週間は、バンスにとって受難の時期であった。パキスタン入りする前には、ハンガリーの総選挙で敗勢が濃厚であったオルバーン・ヴィクトル首相の選挙応援に駆り出され、帰国後は、ドナルド・トランプ大統領とローマ教皇レオ14世との論争に巻き込まれ、カトリック信者としては不本意な弁護を余儀なくされたからだ。

 こうした試練の原因を作った張本人であるトランプはと言えば、バンスが21時間に及ぶ停戦交渉に苦闘しているちょうどその時、不謹慎にもフロリダ州のマイアミで総合格闘技UFCを観戦していた。それだけでも、バンスには不快であったに違いないが、傷口に塩を塗りこんだのは、トランプの傍らに後継者レースにおける最大のライバルである、マルコ・ルビオ国務長官の姿があったことだ。

トランプ大統領とUFCを観戦したルビオ氏。左はUFCのホワイトCEO ⒸAFP=時事

 マイアミはルビオの出身地であり、地元を訪れた大統領をエスコートすること自体は不自然なことではあるまい。しかし、政権を取り巻く状況を考えると、2人のライバルがおかれた状況のコントラストが憶測を呼んだことは無理もない。

 これまでトランプ、バンス、ルビオ三者の関係は、トランプ主義運動の発展とともに様々な変化を遂げてきた。今後、秋の中間選挙を経て、政権が折り返し点を越えれば、政局は「トランプ後」に向けた動きを加速することは必至である。その中でこの三者の関係がどう進展するかは、2028年の大統領選以降の政局、さらには米国の保守主義の長期的将来にも大きな影響を与え得る。

 筆者は、本誌昨年11月号に寄稿した拙文、「カーク暗殺とバンスの野望」において、バンスの政治的将来について考察を行った。本稿では、後継者候補としては二番手の位置にあるルビオに焦点を当てながら議論を深めてみたい。

キューバン・ロビーの申し子

 米国政治について少しでも知識がある人にとって、ルビオにはどことなく頼りない印象がつきまとう。

 例えば、2013年、オバマ大統領の一般教書演説に対する反論演説に起用された際、緊張のあまりか、全国ネットのカメラの前でペットボトルから水を飲むという失態を犯すと、ルビオの「ウォーターゲート」として記憶されることとなる。2016年の大統領選挙に向けた共和党内の指名争いでは、テレビ討論会において当時はまだ政治の素人であったトランプから「マルコ坊や(リトル・マルコ)」と揶揄され、すっかり貫禄負けしてしまう。

 だが、こうした印象に引きずられ、ルビオの政治家としての芯の強さを過小評価することは間違いだ。

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source : 文藝春秋 2026年6月号

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