横綱大の里、豊昇龍、大関の安青錦と琴櫻、小結髙安らが休場し、役者が欠けた五月夏場所が幕を閉じた。
そんななか、大関霧島との優勝決定戦を制し、優勝賜杯を抱いたのは小結の若隆景だ。約4年ぶりとなる二度目の優勝で、前回の優勝は2022年の三月春場所だった。この当時はコロナ禍のなか入場者制限があり、優勝パレードや、恒例の支度部屋での「万歳記念撮影」もなかったものだ。満員御礼の国技館で、大歓声を浴びた優勝に、若隆景はいう。
「前回と全然違いますね。家族と写真が撮れてよかった。6歳の息子も、今回の優勝は記憶に残してくれると思います」
普段からなかなか笑顔は見せず、まるで古(いにしえ)の武士のような佇まいで、いぶし銀の魅力を放つ若隆景が、少しだけ口元を綻ばせていた。思えば初優勝後に大関取りに挑むも、右脚に大けがを負って番付を幕下まで下げた。今回、再び三役まで這い上がってきた末に掴んだ優勝賜杯なのだった。

183センチ138キロのその体は、相撲界では小兵の部類に入る。元横綱三代目若乃花の花田虎上氏がいう。
「現役時代の私とほぼ同じ体格なんですよね。場所前に対談の仕事で若隆景関といろいろ話しました。私の初優勝時は体重が114キロだったと言うと、『そんなんで勝てたんですか……』と驚いてましたね(笑)。私も現役時代におっつけを得意としていましたけれど、彼もおっつけの技術がある。体重が軽いと逆転されてしまうことが多いから、その際の脚の使い方などをアドバイスしました。大きい力士は二手先までは読めるけど、『私らみたいなタイプは三手先まで読まないとね』とも伝えました」
再び大関取りのスタートを切った31歳の若隆景に、花田氏はエールを送る。
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