「何だ、あの会は? 何のためにやるんだ?」
5月初旬、元総務大臣の武田良太は周囲にいら立ちを見せていた。同月下旬に総理大臣の高市早苗を支える議員連盟「国力研究会」が立ち上がると聞いたからだ。しかも、中心人物は自民党副総裁の麻生太郎。同じ福岡で選挙区が隣同士だ。これまで首長選挙などで何度となく衝突してきた、いわば“天敵”である。
武田は4月に二階派を引き継ぐ形で「総合安全保障研究会」なる議員グループを立ち上げたばかり。これから党内で存在感を示していこうと動き始めた矢先、麻生主導の「国力研究会」は、武田らを非主流派に追いやる仕掛けに映った。
この議連はそもそも、松下政経塾で高市の先輩である側近・参議院議員の山田宏が構想を温めていたものだ。人付き合いが得意ではない高市は、政権発足以来、党とのコミュニケーション不足が指摘されていた。さらに2月の総選挙後から、武田のみならず、参院幹事長の石井準一などが派閥復活を目指すかのような動きを見せている。これらが“反高市”の動きにつながらないか、当の高市も警戒していた。
「内閣支持率が高いうちはいいが、来年の総裁選も見据えて、党内に高市総理を支えるグループを作ったほうがいい」
そう考えた山田がまず相談したのは、高市総裁の生みの親、麻生だった。麻生はこう答えた。
「現職の総理を支持するグループだから、幅広い結集が必要だろう」
自らの力が及ぶ範囲を麻生派以外にも拡大し、さらにポスト高市候補も自分の下に取り込めば、高市に何かあった時にも、「麻生さんがキングメーカーで居続けるのに打ってつけの仕組み」(党幹部)となる。幅広い結集を求めつつ、麻生は自らに敵対する議員を議連から遠ざけることも忘れなかった。
「発起人から林(芳正)は外せよ」
林は麻生が福岡で対立してきた元幹事長・古賀誠の流れを汲んでいる。前回の総裁選でも候補者で唯ひとり“麻生詣で”をしなかった。

その後、山田は議連の立ち上げについて高市と官房長官の木原稔の了解を得た。党との乖離を気にかけていた木原は周囲に打ち明けた。
「党に150人くらいの高市支持グループができると、官邸との架け橋としてちょうどいい。来年の総裁選の核にもなるだろう」
ピンチヒッターは茂木?
そして山田は、林を除く前回総裁選の候補者に発起人になるよう説得に当たった。まずは外相の茂木敏充だ。高市が急遽交代せざるを得なくなった場合、麻生は「その場合は茂木だろう」とピンチヒッターと考えている。茂木もそれを強く意識している。側近で広報本部長の鈴木貴子によるSNS戦略もはまり、ネットでの評判も上がってきた。
「茂木さんの柔らかい部分が、だいぶ知られるようになってきた。ネックとなってきた党員票の獲得につなげられれば」(茂木側近議員)
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