「取材を無しにはできないの!」
3月19日の日米首脳会談を目前に控えて、首相の高市早苗は周囲に苛立ちをぶつけた。「取材」とは非公開の本会談の前に、ホワイトハウスのオーバルオフィス(大統領執務室)で記者団から質問を受ける冒頭取材のことだ。
昨年3月、この冒頭取材でウクライナのゼレンスキー大統領が、トランプ米大統領とバンス副大統領から「無礼だ」と非難され、激しい口論になったことが、高市の念頭にあったのだろう。期せずして、イラン攻撃後に初めてトランプと会談する主要国首脳となった。世界が注視する中、何を言い出すかわからない大統領だけに、官邸も外務省も冒頭取材の時間を短縮すべく奔走したが、叶わなかった。
迎えた当日、まずトランプが「選挙で勝利した偉大な女性だ」と高市を称えた。対する高市は、「今日はホワイトハウスにお招きいただき、ありがとうございます」と英語で話し始めたものの、「現在の状況では……」と言ったところで言葉に詰まり、慌てて日本語に切り替えた。
「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思っています。そのために私は諸外国に働きかけて、しっかりと応援したい」
本人曰く「飛行機の中で徹夜で考えた」言葉で、トランプを持ち上げてみせた。米メディアがトランプに米軍の追加派兵の予定を質問し、日本メディアも「日本にどのような支援を期待するか」と訊いたが、トランプの口から自衛隊艦船の派遣要請は出ず、高市は約30分の冒頭取材を無事乗り切ることができた。
非公開の会談では、憲法九条などを理由に、現段階ではホルムズ海峡に自衛隊艦船を派遣するのは困難なことを説明。停戦後の機雷除去などであれば可能だと伝えた。また、アラスカでの原油生産倍増のための投資と、重要鉱物のサプライチェーンを強靭化するために、南鳥島でのレアアース開発で協力することも提案した。
「トランプに無理な要求もされず、原油高騰対策も打ち出せた。100点満点だ」と官邸幹部は胸を撫で下ろすが、安心するのはまだ早い。未だに停戦までの道のりは見えず、エネルギー価格高騰は避けられない。
晩餐会の会場に到着した高市のために、軍楽隊がX JAPANの「Rusty Nail」を演奏すると、感激のあまり高市は両手を挙げて踊りだした。その姿がホワイトハウスのHPで公開されたが、国際社会がどのように受け止めたのか、冷静な視点に立ち返る必要があるだろう。
帰国後に参議院の壁
帰国した高市を待ち受けていたのは、参議院の壁だった。与党で3分の2以上を占める衆議院と違い、参院では過半数に4議席足りない。
年度内の予算成立にこだわる高市は、衆院で強権を発動して3月13日金曜日の夜に強行採決をしたが、参院の予算審議で野党の猛反発にあい、意に反して暫定予算案を組まざるをえなかった。

実は衆院通過の3日前、国民民主党幹事長の榛葉賀津也は、高市にショートメールを送っていた。
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