国民民主の連立入りが火種に

連立拡大派の麻生に対して高市は面従腹背

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「政治の安定なくして力強い経済政策、外交・安全保障政策は推進できない。そのために必要な対応は常に考えている」

 6月17日、フランス東部エビアンでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)を締めくくる内外記者会見で、国民民主党の連立入りについて考えを問われた高市早苗首相は、そう言って含みを持たせた。

 高市に呼応するように国民民主の玉木雄一郎代表は翌日、「政治の安定の必要性については、協力すべきとこは協力していきたい。一つ一つの政策を取り扱う中で信頼関係を高め、連携の在り方はどこまで何ができるのかを考えていきたい」と記者団に述べた。

 実際、水面下では連立を模索する動きが進んでいた。高市が重要法案の一つと位置付ける国旗損壊罪法案を巡る国民民主の対応だ。自民党が当初示した案では、国旗を損壊した様子を撮影し、SNSなどに投稿する行為も処罰対象としていた。国民民主は、憲法が保障する「表現の自由」を制約すると懸念を示し、処罰範囲が広すぎると反対していた。

G7サミットでの高市首相 Ⓒ時事通信社

 国民民主は刑事裁判の再審制度を見直す政府の刑事訴訟法改正案では自民との協議に乗らなかったが、国旗損壊罪法案では自民のSNS投稿を処罰対象とする規定を削除するとの提案をあっさり受け入れ、自民、日本維新の会、参政党と共同提出者の一角を占めた。国民民主執行部の一人も「なぜ玉木代表や榛葉賀津也幹事長があの程度の内容でOKとしたのか分からない。裏の意図を感じざるを得ない」と漏らす。

 一連の動きと相俟って、従来は9月に行われる内閣改造を「7月下旬もしくは8月に前倒しする」(閣僚経験者)との観測も自民内で浮上してきた。国民民主が連立参画した際に、閣僚ポストを配分するためだ。

 背景には玉木が代表任期満了を9月に迎えることがある。3年前の代表選では、政策実現のため与党との連携も辞さないとする玉木と、自民と対峙するため野党との連携に意欲を示す前原誠司元外相との路線対立が鮮明となった。結局、敗れた前原は程なくして離党。9月の代表選で国民民主内の路線対立が再び起こる前に、連立参画を固める狙いだ。

 ここ数年来、国民民主の連立入りは浮かんでは消えてきた。2019年10月に、玉木の後見人でもある亀井静香元運輸相が、同年夏ごろに安倍政権と国民民主の連立政権構想があったと明らかにした。22年には国民民主が22年度当初予算案に賛成、ガソリン減税の「トリガー条項」凍結解除を含む原油高騰対策の協議をスタート。翌年9月には国民民主元副代表の矢田稚子元参院議員が岸田文雄首相の補佐官に就任した。矢田首相補佐官は石破政権にも引き継がれたが、結局、連立入りは成就しないまま、矢田は25年3月に退任となった。

 改めて国民民主との連立論が浮上したのは、先の衆院選で高市自民が大勝したとはいえ、参院で少数与党の「ねじれ」状態にあるからだ。このため、高市がこだわった26年度予算の3月末までの成立は叶わず4月にずれ込まざるを得なかった。参院で国民民主を引き込めば、安定的な国会運営が可能になる。

自民から相次ぐラブコール

 自民党参院トップの松山政司参院議員会長は5月14日の自身の政治資金パーティーで「国民民主党との連携は極めて重要だ。連立を真剣に考えなければならない」と強調した。鈴木俊一幹事長も同月18日の記者会見で「国民民主党と紆余曲折はあるが政治の安定が重要だ。日本維新の会との連携を基本に、国民民主も連立に加わってもらうことが大切だ」と言及した。

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source : 文藝春秋 2026年8月号

genre : ニュース 政治