「わからないまま母と生きる」こだまさんインタビュー

NEW

エンタメ 読書

 男女の関係を結べない夫婦の歩み、ままならない自身の心情を緻密に描いた私小説『夫のちんぽが入らない』から10年。こだまさんが最新エッセイで綴ったのは、父と死別し、雪に覆われた大地で暮らす母の実像だ。

「私の母は、地方のよくない部分を煮詰めたような年配者です。口が悪くて強烈で、過去には、子のいない私に『女の人は子どもを育てて一人前』と当然のように言ってきたこともありました。ただ、悪気はないんですね。だからこそ許したい気持ちと、やっぱり憎らしい気持ちと、両方が心に湧いてくる存在です」

 母の娘として日々を重ね、半世紀の時が流れた。今は実家から徒歩10分圏内の家に住み、母との「ちょうどよい距離」を探りながら、その日常を書き記す。

こだま氏

「3年前に父が亡くなったことで、母との関係も変わりました。今までは意識的に関わらないようにしていたのですが、独り身になった母のことは心配ですし、母も何かと電話してくるようになった。最近は私の夫も加わって、3人で出かけることも増えました」

 一貫して「私は家族の話しか書けない」と語るこだまさん。見栄を捨て、我が身に起きた出来事をありのままに伝える筆致は、デビュー時から変わらない。

「自分の文章が恥ずかしくて読めないんです。重いエピソードに感情が入り込みすぎていると、まるで自分を悲劇の主人公のように書いていたことに気づいて、ページを捲れなくなる。なるべく淡々と書くように心がけています」

こだま『わからないまま母と生きる』(太田出版)1980円(税込)

 ただ、こだまさんには、触れておかねばならない秘密がある。自身が作家であること、家族の姿を書き続けていることを、身内に一切明かしていないのだ。

年額プランがおトク!月あたり900円で全記事読み放題

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

オススメ!

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2026年11月号

genre : エンタメ 読書