「ニセコ誕生物語 高円宮妃久子殿下の高祖父 曾我祐準の開拓と精神」読売新聞北海道支社 太田雅之さんインタビュー

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 ある女性皇族と、北海道有数の国際的スキーリゾート地との知られざる縁。一枚の肖像画をきっかけに、時空を超えて両者の交流が再開する――。北海道開拓史を丁寧に紐解きつつ、肖像画をめぐる物語を追ったのが本書だ。

読売新聞北海道支社『ニセコ誕生物語 高円宮妃久子殿下の高祖父 曾我祐準の開拓と精神』(中央公論新社)1980円(税込)

 著者の一人である読売新聞地方部編集委員の太田雅之さんは、社会部宮内庁担当などを経て、今年5月まで北海道支社の編集部長を務めていた。昨年1月、高円宮妃久子さまと懇談する機会を得た際、北海道で勤務していることを伝えると、久子さまは高祖父・曾我祐準(すけのり)に関するお話をなさった。

「ある時、久子さまの元に、洋画家の孫という男性から手紙が届いた。祖父が描いた祐準の肖像画の行方を追っているという内容で、久子さまもその肖像画捜しに加わられたとのことでした」

 祐準は柳川藩(福岡県)の出身で、明治維新の志士として陸軍中将まで上り詰めたほか、明治天皇の意向で大正天皇の教育係も務めた。だが、肖像画はこうした足跡からは想像もつかない、思わぬ場所で発見された。北海道ニセコ町だ。

 じつは祐準はニセコ開拓の祖でもあった。1900(明治33)年、当時の原生林に「曾我農場」を開設し、未開地を切り拓いていたのだ。皇室入りにあたり高祖父の事績を学んでいた久子さまも、詳しくご存じではなかった。だが肖像画捜しをきっかけに、2022年、ニセコ町をご訪問。農家を視察され、住民たちとバーベキューを楽しまれたという。

 肖像画をめぐる物語に魅了された太田さんらは、早速、昨年から読売新聞北海道版で「曽我農場物語」の連載を開始。取材を進めると、曾我農場が模範的な農場だったことが分かった。

「祐準は農場主として、小作人の収入を増やす取り組みを進めたほか、リンゴやイチゴ、ウメといった果樹・園芸の奨励、講習会や農産物品評会の開催などで、小作人のやる気を向上させたといいます。さらに、曾我農場は戦後の農地解放を待たずして小作人に解放された。ニセコ町の農家では、祐準への敬慕の情が、開拓民の誇りとともに語り継がれていました」

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source : 文藝春秋 2026年9月号

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