「馬が出会わせてくれた絆でした」
ノンフィクション作家の星野博美さんが新たなテーマに据えたのは、「相馬野馬追(そうまのまおい)」だ。甲冑を身に纏った約400騎の騎馬武者が野原を疾走する、福島県相馬地方の伝統行事である。
「始まりは2010年、長崎の五島を訪れた際、現地で触れ合った馬たちに魅了されたこと。私が丙午(ひのえうま)生まれということもあったかもしれません(笑)」

相馬野馬追に興味を抱いたきっかけは、乗馬雑誌の記事だった。
「大震災後の2011年7月、規模を縮小しながらも開催されると知りました。馬たちも被災したのに、早くも復興に向けて動いている。でも、ボランティアなどしてこなかった私が行くのは失礼ではないかと、ずっとためらっていました」
星野さんは馬と出会って旅先の選定が大きく変わった。アンダルシア、トルコなど、馬を求めて世界各地を巡り、2020年から紀行連載を始めた。コロナ感染拡大で海外へ渡航できず、日本の馬文化について考え始めるようになった。

連載の取材のため、初めて相馬を訪れたのは2021年7月。東京から常磐線で3時間半揺られて浪江駅に到着すると、歩いている馬と武者が目に入った。
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