老いはやむなしと言いながら

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 今夏、66歳になった。

 昨夏は65だった。このままいくと来夏は67になる。「いやでもホント何が起こるか分からないし」と口では言っているものの、来年の夏くらいは迎えられると思っている、そんな年頃だ。いまのところ、1年に1歳ずつ、規則正しく老いの道を歩んでいる。

 シミは増え、シワは深くなり、皮膚はたるむばかりである。視えも聴こえも頼りなくなりつつあり、なんとなく痛いふしぶし、腫れがちな歯茎、頻出するド忘れなどなど、わたしという66歳に現れ出でる老いの兆候(あるいは証拠)は数え上げればキリがない。

『けんぐゎい』で175回直木賞を受賞した朝倉かすみ氏 Ⓒ文藝春秋

 やむなし、と思っている。老いはやむなし。

 基本的には受け入れる方向でいる。

 断っておくが、あくまでも「基本的には」だ。

 わたしの抱く、老いるというイメージは、ゆっくりゆっくり川を下っていく映像だ。

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source : 文藝春秋 2026年11月号

genre : ライフ 読書 ライフスタイル