無人機戦争―ウクライナ現場ルポ

飯沼 賢一 共同通信前キーウ支局長

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ドローンは戦争の形を大きく変えた。 命懸けの取材で見た最前線のリアルは日本にとって対岸の火事ではない

「もうここに人はいないのに」

 カテリーナさん(63)が秋空を見上げ、つぶやいた。イヌやネコがさまよう街の上空に、無人機(ドローン)の「ブーン」という羽音が響いていた。

 2025年9月、ロシア・ウクライナ戦争の最前線、ウクライナ東部ドネツク州ドブロピリャに、私はいた。暮らしていた首都キーウから車で10時間。前線に近づくとヘルメットと防弾チョッキを身につけ、この町を守る軍部隊のエスコートを受けた。軍車両の先端に取り付けられた無人機探知機が、時折「ピーッ」と鋭い警告音を発した。

 ヒマワリとトウモロコシが植えられた畑を抜けると、かつて2万8000人が暮らした町に着いた。ロシア軍は20キロ先のポクロウシク包囲を狙い、補給線上にあるドブロピリャに猛攻を仕掛けていた。

 住民の9割以上は既に町を離れていた。商業施設は空爆で砕かれ、集合住宅は窓ガラスの割れていない方が少ない。断水は1カ月に及び、生ごみのようなにおいが鼻をついた。開いている食料品店は1軒しかなかった。その店の唯一の買い物客が、カテリーナさんだった。

「一人息子を殺され、今は家族も友人もいません。ここに残るのは、私のような年寄りだけです」

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source : 文藝春秋 2026年11月号

genre : ニュース 国際 ロシア