豪雨はもう異常気象ではない

坪木 和久 名古屋大学教授・横浜国立大学教授

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 私たちは今、“気候大変動”の時代に生きています。

 ここ数年、テレビの気象予報で「これまでに経験したことのないような激しい雨」などと耳にすることが増えたと思いませんか。豪雨の被害に遭われた方のインタビューでも、「私は何十年もここで暮らしているけれど、こんな雨は経験したことがない」という驚きの声が繰り返されています。

 われわれ科学者が申し上げなくても、気候が大きく変わりつつあることを、皆さんも肌で感じておられるのではないでしょうか。

 気温が1度上がると、大気中の水蒸気は約7%増えるとされています。水蒸気は積乱雲や台風のエネルギー源であり、大気中の水蒸気量が増加すれば、それだけ気象は激甚化します。つまり、地球温暖化が進んでいる現代においては、豪雨のような異常気象はもはや「異常」ではなく、「新しい日常(ニューノーマル)」になっていくと考えるべきです。

 日本各地で大雨による被害が多発した今夏。8月中旬には千葉、9月初旬には名古屋を中心とした東海地方で記録的大雨が発生。千葉豪雨を伝えるニュースでは、走行中の自動車が水没する衝撃的な映像が繰り返し放送された。

 なぜここまで頻繁に、未曾有の豪雨災害が起きるのか。気象学者の坪木和久氏に聞いた。

 まずは、今年起きた三つの豪雨災害を分析してみましょう。

 一つめは、8月13日から14日にかけて発生した「令和8年8月千葉豪雨」。6都県55市区町にレベル4土砂災害危険警報が発表されたこの豪雨により、県内で13人の死者が出ました。佐倉市では冠水した道路でタクシーに閉じ込められた方が亡くなり、千葉市中央区では、同様にアンダーパスで車に閉じ込められた方が亡くなりました。排水施設の処理能力を超えて水があふれる「内水氾濫」の恐ろしさを如実に示した災害だったと言えるでしょう。

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source : 文藝春秋 2026年11月号

genre : ニュース 社会 サイエンス