『はじめてのおつかい』『こんとあき』など、子どもの心の機微を描いた作品が、国内外で愛される絵本作家・林明子(1945~2026)。手がけた絵本の累計部数は2000万部を超える。亡くなる2カ月前に福音館書店から刊行された本の担当者・関根里江さんと中村悠子さんが語る。

関根 福音館にとって林明子さんは著者以上の方です。1950年代半ばから、福音館の創設に参画した松居直(ただし)は瀬田貞二さんや石井桃子さんたちと「日本の子どもの本はどうあるべきか」と勉強会を始めたのですが、その流れをくむ勉強会のお仲間の一人が林さん。ですから、共に学んで育ってきた仲間のような存在なのです。30数年前からお付き合いがありましたが、子どもにどういう本を届けるかに真摯に向き合って、ものすごく苦しみ、悩みながら、絵本制作を続けてこられた方でした。
中村 「現実の世界よりもっと本物だと思ってもらえなければ失敗」と話されていましたよね。一読者だった私が入社して、林さんと接するようになって感じたのは、子どもの時に感じていた不安や怖かったこと、うれしかったことをご自分の核に大事に持ち続けている稀有な方だということです。
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