未来に向かって全力投球を続けた人
絵本を仕事としてきた私にとって、この人を抜きに「科学」を語ることはできない。その名はかこさとし(加古里子)。8年前に92歳で亡くなるまで600冊に及ぶ絵本を作り、そのうちの200冊あまりが「科学の絵本」だという。
生誕100年にあたる今年の3月から6月、国立科学博物館で展覧会が開催された。それに合わせて『かこさとしの科学絵本』(主婦の友社)が出されたのと同時に、9年前に編まれたムックが新装され、改めて刊行された。今回とりあげたのはその本だ。現役の科学者たちが熱く語る、その絵本の凄さ。面白さ。そして影響力! それらを読めばどうしたって、絵本そのものを見たくなるはずだ。

……白状しよう。この本を選書した私の真の目的は、実はそこにある。
なかでも、代表作と言われる『海』『地球』『宇宙』『人間』(いずれも福音館書店)は見逃せない。そして絵本を開いたなら、最後の「解説」や「あとがき」もぜひ読んでほしい。そこには、なぜその絵本を作ったのか、どうしてこの構成にしたのかがつぶさに書かれている。今回私も改めて読んでみて、その熱量にもう一度驚き、ハッとし、胸が熱くなった。
私はかつて、かこさんにインタビューをしたことがある。その時もそうだったが、かこさんはしばしば「子ども」と言わずに「子どもさん」と言う。この「さん」付けに込められた思いは深い。
19歳で終戦。その日から突然大人たちの言うことがガラリと変わる。当時は戦争に疑いを持っていなかったというかこさんは、インタビューの日、私にもはっきりと語ってくれた。だまされたなんていうのは言い訳に過ぎない。自分は馬鹿だった。自分のような過ちを犯さないように、これからは子どもたちに語ろう。夢を託そうと思った――と。
かこさんの本にはすみからすみまで、執念にも似た情熱を込めて描き出された絵と記述が満ちている。そこには、かこさんの哲学と強い願いがこもっている。
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