北村雄一『アフター・サピエンス 文明崩壊後の未来人類』

第25回

松田 素子 絵本編集者
エンタメ サイエンス 読書

人類の未来と滅亡の道

〈「今」と「未来」を見通す科学本〉――これがこのコーナーの選書基準だ。私はその表題を、今改めてじっと見ている。

 なぜなら、読み終えたまさにその日、アメリカがベネズエラを攻撃。大統領を拘束し、かの地の石油の採掘をアメリカがコントロールすると明言したからだ。

 埋蔵量世界一と言われるベネズエラの石油だが、実は……という記述がこの本の中にある。詳しく書く紙幅はないのでぜひ読んで欲しいが、その箇所のみならず、今と未来を見通すとはどういうことかを色々な角度から考えさせられた。

北村雄一『アフター・サピエンス 文明崩壊後の未来人類』(エクスナレッジ)2420円(税込)

 この本は、著者がYouTubeで公開中の100を超える動画から、文明崩壊後の未来の人類がどうなるかを軸に21のエピソードを選んで構成したものだ。

 まずはカンブリア紀から語り始め、人類の来し方をおさらいし、必要に応じて他の様々な生物が今の姿に変化してきた背景も考察し、この先果たしてどうなるのかを予測する。その上で何度も何度も「滅亡します」という言葉が出てくる。あまりにも淡々と、論理的に、ピシャリと出てくるので、私は途中からなんだか妙な笑いがこみ上げてきてしまった。

 滅亡シナリオはあれこれあるが、私が最も納得がいくのは大陸の移動である。現在の地図になる前にも大陸は合体していたことがあり、今もわずかずつ動き続けている。そして予測では2億5000万年後、大陸は再び合体する。太陽もずっと変わらずとはいかない。宇宙中、止まっているものなど何もないのだ。人類は生き残りをかけて思いもかけない姿になり他の星への移住も考える。でもいつかはちゃんと、滅亡する(らしい)。

 やがてくる未来の合体した超大陸の予想図を見ながら「ほら、こんな風に、どうせ国境なんかなくなるのにさ」と、今の世界のあちこちで起こっている国家間の争いを思って私はため息が出る。

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source : 文藝春秋 2026年4月号

genre : エンタメ サイエンス 読書