両陛下には「迷い」と「せつなさ」もあった
川島 平成最後の歌会始も1月16日に無事終わりました。永田さんは一般から公募された作品を選ぶ詠進選者を務められてきましたね。もう何年になりますか。
永田 15年くらいですね。私が選者になったとき、川島さんもちょうど外務省から宮内庁に移り式部官長に就任されました。
川島 そうそう、いわば同期生のようなものですね。私は4年前に退職しましたので、しばらく歌会始には出席していません。当日のご様子はいかがでしたか?
永田 歌会始の場では例年通り淡々とされていました。ただ、終わった後に私たち選者が拝謁する場があるのですが、両陛下はご在位中最後ということもあったのでしょう、1人ひとりに、「これからも歌会始をよろしくお願いします」と繰り返しおっしゃられた。これまでなかったことで印象に残りました。歌会始では、普段はあまり歌を作る機会のない一般の方が陛下に詠進します。両陛下と国民が繋がる貴重な機会ですから、これからも大切にして欲しいと願っておられることが伝わってきました。
川島 歌会始以外でも両陛下は数多くの場でお歌を詠まれてきました。皇室では、天皇陛下の歌を御製(ぎょせい)、皇后陛下の歌は御歌(みうた)と呼びますね。これらを読むだけで、平成の御代で起こった出来事がよくわかりますし、象徴天皇とその皇后としてのお二人の事績もわかります。
永田 陛下は政治や経済に影響を与えるようなご発言は許されませんから、おことばを表明される際にも自ら慎重に言葉を選び規制されている。それを補完するのが歌なのです。お歌をじっくり読むと、その背後に秘められた思いが見えてくることがある。和歌というととっつきにくいと思われる方がいるかもしれませんが、両陛下がご自分を表現できる数少ない機会と考えれば貴重な資料でもある。
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