知らないと損をする公的な仕組みがある
今年1月、国立がん研究センターが、2015年の1年間に新たにがんと診断された罹患数を発表した。それによると、約89万1000人ががんと診断され、そのうち男性は約51万人、女性は約38万人だった。2014年より約2万4000人増加した。
国民の2人に1人が、一生涯のうちにいずれかの部位でがんを発症すると言われている日本。一方で、医療技術の進歩により、5年生存率(がんと診断されてから5年後に生存が確認できた割合)は、多くの部位で上昇しており「がんは治る」時代になってきている。
そのため、多くの人が経済的問題に直面するようになっている。
「最近は、がんの治療が長期化している傾向があります。入院だけでなく通院での治療を行う人も増えており、それにともなって患者や家族に与える経済的な影響も大きくなっています。診断された直後に治療費の問題に直面するのはもちろんのこと、休業や退職に伴う収入の心配、治療が長期化することによる費用不足の不安、さらに万が一の場合に残された家族のための備えなど、お金に関する悩みは多岐にわたります」
こう話すのはファイナンシャル・プランナー(FP)の岡本英夫氏だ。岡本氏が副理事長を務めるNPO法人「がんと暮らしを考える会」は、がんとお金に関する様々な制度を検索できるウェブサービス「がん制度ドック」を運営している。また、全国の医療機関などでもがん患者とその家族向けにお金や仕事に関する個別の相談事業を行っている。
「がんと診断されてから利用できる制度は、実は様々なものがあります。しかしながら、申請方法がかなり複雑ということもあり、申請までなかなかたどりつけないケースが多々あるのです。長い闘病で気力や体力が落ち、自ら申請を行うことが困難で、申請を断念する患者さんもいます。そもそも、患者さんが制度を利用できることを知らないことも少なくありません」(同前)
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source : 文藝春秋 2019年4月号