サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。
今回の数字:世界一 黒い鳥の光の吸収率=99.95%
今年8月号の本連載で、当たった光の99.995パーセントを吸収してしまう、世界一黒い人工物質「ベンタブラック」を取り上げた。しかし実は、生物の世界にもこれに匹敵する黒さのものが存在する。たとえばある種の深海魚の体表は、光の吸収率が最高で99.9パーセントに達する。あまりに黒いため写真に撮っても形状がほとんどわからず、ストロボを4つ焚いて撮影したものをコンピューター上で画像処理し、ようやく姿がわかるほどだという。
ここまでの黒さは、単なる黒い色素だけでは実現できない。この魚の体表は、細胞レベルの複雑な微細構造を持っており、当たった光をその内部に閉じ込めてしまう。これは、ベンタブラックの黒さとよく似た原理だ。人類が新たに開発したと思ったものが、実は自然界にも存在していたというケースはよくあるが、これもそのひとつといえる。自然の懐は、やはり恐ろしく深い。
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source : 文藝春秋 2020年10月号