韓国「徴用工判決」文在寅は一線を越えた

武藤 正敏 元在大韓民国特命全権大使
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「ありえない」判決の背景には日本への「甘えの構造」がある

文在寅氏 ©時事通信社

「もうこれ以上、付き合いきれないよ」。多くの日本人はこう思っているのではないでしょうか。

 10月30日、韓国の最高裁にあたる大法院が驚きの判決を下しました。第2次世界大戦中、日本企業によって強制労働をさせられた元徴用工の男性4名が新日鉄住金(旧・新日本製鉄)を相手取って損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、同社に対して4人に合わせて4億ウォン(約400万円)の支払いを命じたのです。この金額には、労働に対する正当な報酬だけでなく、過酷な労働を強いた慰謝料も含んでいるといいます。新日鉄住金といえば、韓国が浦項総合製鉄(現・ポスコ)を立ち上げる際、世界銀行やアメリカなどに「時期尚早だ」と融資を断られていたのに、新日鉄の稲山嘉寛会長(当時)が「韓国にはあらゆる協力を惜しまない」と支援して、誕生した経緯がある。韓国はそうした企業に懲罰的な判決を出したのです。

 韓国の外交官は、口を開けば「日韓関係をよくするために努力せよ」と言います。しかし、もうそういう雰囲気ではなくなっています。辛抱強い日本政府も、日本の国民も、「徴用工判決」で我慢の限界を超えてしまったのではないかと思います。

 私は、この判決は文在寅政権の意向に沿ったものであったと認識しています。

 文在寅大統領はこれまで、日本と表立って対立するようなことは避け、あからさまな「反日パフォーマンス」を取るようなことはしてきませんでした。昨年の光復節(8月15日、韓国の終戦記念日)のスピーチでも、こう述べていました。

「(日韓の)過去の歴史が未来志向的な発展の足を引っ張るのは好ましくありません」

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source : 文藝春秋 2018年12月号

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