過剰にクリーンなイメージが不祥事の際に仇となる
第4次安倍改造内閣が発足しました。今回の組閣でやはり目立っていたのは女性が1人しかいないということ。そして、その1人に選ばれた初入閣の片山さつき参議院議員は、早々に国税口利き疑惑を報じられています。もちろん、口利きなしには日本社会は回らないというのが実態ではあるのですが、仮に私設秘書の税理士が受け取ったと報じられている100万円が片山さつき氏の政治資金に還流しているようなことがあれば、あっせん収賄疑惑に発展します。片山氏は完全否定しているとはいえ、今後の推移が気になるところです。
女性の活躍を打ち出した安倍政権は、積極的に女性閣僚を登用してきました。しかし問題は、過去に任命された女性閣僚のうち3人が、スキャンダルで辞任に追い込まれていること。稲田朋美防衛大臣、小渕優子経済産業大臣、松島みどり法務大臣はいずれも、鳴り物入りで入閣した人々であっただけに、辞任の影響は大きかったと言えるでしょう。
印象的だったのは、総裁選出馬を狙っていた野田聖子前総務大臣にスキャンダルが報道されたこと。金融庁への介入と受け止められかねない秘書の行動が問題視されました。
女性はスキャンダルに弱いのか、それとも単に目立つから週刊誌に狙われているだけなのか、そもそも女性がこれまでトップ・リーダーになれなかったのはなぜか。女性議員個人の資質を問題視する声は出ても、体系的な論考は見かけません。
そこで、なぜ女性議員が育たないのか、トップを狙えないのかという大本の理由を、失敗の原因と共に振り返ってみたいと思います。
リーダーのモデルがない
日本において、というより世界において、そもそも女性のリーダーシップ・モデルはあるのでしょうか。
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source : 文藝春秋 2018年12月号