埼玉県さいたま市 浦和高校にて(撮影・三宅史郎)
(右から)
埼玉県立浦和高等学校校長
水石明彦
東京医科歯科大学難治疾患研究所所長・教授
仁科博史
クラレ代表取締役社長
川原仁
バンダイナムコエンターテインメント代表取締役専務
片島直樹
ムーディーズ・ジャパン代表取締役兼アジア証券化格付部門ヘッド
北山慶
「文武両道」を謳う高校は全国に数多くある。私が卒業した埼玉県立浦和高等学校(浦高)もそのひとつだが、現在も「文を尚(たっと)び、武を昌(さか)んにす」という「尚文昌武」の精神のもと、後輩たちが日々「文武両道」に邁進している。
高校時代を振り返ってみると、「文武両道」は当たり前にそこここにあった。私と同じ中学から浦高に入った北山は、サッカーで県選抜の国体選手となり、浦高の全国大会出場を目指していた。私の中学一の秀才で、浦高でも同級生だった仁科は、数学部でパソコン製作などを楽しみ、大学は生命科学の道に進んだ。入学後に仲良くなった川原は、軟式テニスに3年間打ち込みながらラストスパートで大学に現役合格。
そして、高1の時に大阪から転校してきてラグビー部に入った水石は、なんと昨年、校長として母校に着任した。
そんな「文武両道」を地でいく、個性的で才能を持った同級生たちに囲まれ、私は「今しかできないことをしよう!」と、部活、学校行事、勉強に、自分で勝手にウェイト付けをして、浦高生活を思う存分満喫し、最後は一浪までした。こうした私みたいな生徒に、当時の先生たちはすべてを任せてくれた。任されることで、私は自分の頭で考えられるようになっていった。
社会人になり壁にブチ当たった時、私は自分なりに答えを探し出し、自分なりの可能性を切り開いていくことができた。それは北山にも仁科にも川原にも水石にも、浦高生全員に当てはまることだろう。
こういった、浦高ならではの「文武両道」を体験し共有しているからこそ、卒業して何十年も経って久しぶりに顔を合わせても、すぐにあの頃に戻れるのである。(片島)
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source : 文藝春秋 2021年6月号