関係者の証言でよみがえる女優が言葉に秘めた思い
9月15日に75歳で亡くなった樹木希林さん。ドラマやCM、映画で独特の存在感を印象づけただけでなく、歯に衣着せぬ発言や、病と闘いながら女優の仕事に取り組む姿勢が多くの共感を集めた。樹木さんは本誌2007年5月号「オカンと裕也と娘・也哉子と」、14年5月号「樹木希林独白 全身がん 自分を使い切って死にたい」他に登場し、折々の率直な心情を吐露していた。
〈最近のわたしは、“きょうよう”があることに感謝しながら生きています。教養ではなく、今日、用があるということ。神様が与えてくださった今日用をひとつずつこなすことが日々の幸せだし、最後には、十分に役目を果たした、自分をしっかり使いきったという充足感につながるのではないかしらね〉
こう語ったのは、14年2月のインタビュー。前年3月に日本アカデミー賞の授賞式で「全身がん」を告白し、14年1月、放射線によるがん治療が終了したと公表したあとのことだ。
この「自分をしっかり使いきる」という言葉は、他のインタビューでも繰り返し語られる。樹木さんが身の周りのものを大切にし、粗末に扱うことを嫌ったことはよく知られている。
〈古くなった靴下やシャツも掃除道具として利用して、とにかく最後まで使い切ります。ものたちが「十分に役目を果たして終わった」と思えるように、始末する感覚で暮らしているのです。形に残る新しいものは、めったに欲しいとは思いません〉
贈り物が届いても、自分が使わないと思ったものは、そのまま送り返すほど徹底していた樹木さん。この感覚は、自分自身の生命や肉体に対しても変わることがなかった。
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source : 文藝春秋 2018年11月号