大塚家具「父と娘」の1500日戦争

日本経済の主役が代わる

ビジネス 企業

3期連続の大幅赤字、身売り報道……。経営をめぐる戦いに、誰が勝ち、誰が負けたのか?

大塚勝久・久美子父娘 ©文藝春秋/時事通信社

 大塚家具が断末魔に喘いでいる。大塚家具は8月7日に2018年12月期の業績予想を修正、最終損益は34億円の赤字と、3期連続で大幅な赤字に陥る見通しであることを明らかにした。この3年間で売上高が580億円から376億円へと200億円も減って3分の2の水準になる。深刻な販売不振で、先行きが全く見通せないのである。

 大塚家具が修正発表に踏み切る数日前、大手メディアが相次いで大塚家具の苦境を報じた。端緒は8月3日にアップされた日経ビジネスオンラインの記事。「大塚家具、自力再建困難に、身売り交渉大詰め スポンサー選び佳境、合意のハードルは高く」という刺激的なタイトルだった。

 翌4日には朝日新聞がこれに畳み掛ける記事を掲載した。朝刊一面で「大塚家具、身売りへ TKP軸に最終調整」と報じたのだ。ティーケーピー(TKP)は貸会議室大手で、大塚家具とは昨年11月に提携して3位株主になっている。その「TKPが第三者割当増資により過半の株式を取得する案が有力となった」と朝日は書いた。

 これに対して大塚家具は「(TKPとは)業務・資本提携を締結しており、その提携関係においてあらゆる可能性を検討しておりますが、現時点において新たにもしくは具体的に決定した事項はございません」とするコメントを同日出した。

 あの大塚家具が身売り!? これらの報道をきっかけに民放テレビ局の情報番組が一斉に取り上げた。というのも、創業者で父親の大塚勝久会長(当時)と実の娘の大塚久美子社長が経営権を巡って争い、株主総会で委任状争奪戦まで繰り広げた記憶が生々しかったからだ。2015年の株主総会前後には、上場企業を舞台にした「世紀の親子ゲンカ」として情報番組の格好の題材になった。

 だが、上場企業の経営問題が「家族の諍い」に置き換わることで、問題の大事な本質が見失われているような気がしてならない。いったい誰が被害者で、誰が笑っているのか。一連の騒動をあらためて検証したい。

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source : 文藝春秋 2018年10月号

genre : ビジネス 企業