自民党総裁選を9月に控え、安倍晋三氏が「3選」を果たすかどうかに注目が集まっています。もし3選を果たし、新たに3年の任期を全うすれば、安倍氏の首相在任年数は、第1次政権を合わせると9年9カ月。これは戦前も含めて、日本憲政史上最長のロングラン政権になることを意味します。
政治の世界は「一寸先は闇」と言われますし、明日にも思わぬアクシデントで政権が倒れる可能性は常にあります。しかし、安倍氏は2012年秋にカムバックしてからこの6年の間で、「安倍一強」の構図をより強固にし、「ポスト安倍は安倍」の状態を保ち続けた結果、見事に自らの政権の固定化に成功したように見えます。
もちろん、安倍内閣に対する不平・不満は常に渦巻いています。先の国会でも参院の定数増やカジノ法案などの政策から、豪雨のときに「赤坂自民亭」で飲み会を開いていたことまで、様々な批判を浴びました。しかし、どれほど重大なスキャンダルが発生して、政権の支持率が一時的に下がり、不支持が支持を上回っても、一定期間が過ぎればまた支持率が回復する。この6年間、私たちはずっとこの光景を見てきました。
昨年来、政治問題化した森友・加計学園をめぐる疑惑、いわゆる「モリ・カケ問題」がいい例です。安倍総理の発言に始まる一連の問題の連鎖に対しては、最新の世論調査でも国民の7割が総理の釈明に納得していません。これだけのスキャンダルが発生したならば、昔ならとっくに政権は崩壊していたはずですが、支持率は30%を下回ることはなく、政権は微動だにしないのです。
民主党政権よりはマシ
なぜそうなるのか。世論調査において、政権を支持する理由で一番多いのは「他の政権よりマシだから」です。これもまた、この6年間不動の位置を占める理由です。この「他の政権」というのは、ほとんどが安倍政権の前の民主党政権を指したものでしょう。つまり、安倍政権にどんなに問題があっても、かつての民主党政権よりはマシだと。この「民主党はダメ」というイメージは非常に強固なものです。
09年に政権交代は起きました。このときは自民党に投票していた有権者も、進んで民主党に投票したからこそ300以上の議席を得ることができた。しかし極めて拙劣な政権運営のために政権は3年であえなくつぶれました。沖縄の米軍基地について、「最低でも県外」などと唐突に言いだすなど、彼らは「統治」というものを理解できていなかった。
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source : 文藝春秋 2018年09月号