ジャーナリスト・立花隆(1940~2021)は、政治、社会、宇宙、生命など多岐にわたるテーマに取り組んだ。「知の巨人」の原点を、幼馴染の板谷駿一氏が語る。
板谷氏
立花君と僕は、水戸市の小・中学校、それに大学も一緒だった。
あだ名はタコ。坊主刈りで、タコのように円い顔をしていた。僕が一番凄いと思ったのは、面白い遊びを考えだす抜群の才能だった。
小学校4~5年の頃か、鉱石ラジオの組み立てを、クラスで真っ先に始めたのは、タコだった。工作の時間に、ユニークな「折り畳み式の椅子」を作り、欲しがる網元の息子に売って、次なる遊びの資金にした。
授業中に暗号でラブレターを書き、好きな子に渡す遊びもあった。その子には、あらかじめ解読のためのキーワードを渡しておく。ラブレターの中身は、「あしたアソボ」とか、他愛のない内容だったかもしれない。この遊びが授業中に広がったので、先生から大目玉をくらった。
彼の読書は半端でなく「図書室の本を全部読んだ」という伝説が生まれたりした。
立花隆
小学5年生の冬、校庭が霜でぬかるむので、学校が石炭ガラをまいた。ところが、転んで怪我をする生徒が続出。学校は生徒を大量動員し、石炭ガラを拾わせた。タコは壁新聞に「七色唐辛子」というコラムを設け、学校側をピリリと批判した。
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source : 文藝春秋 2022年1月号