『点と線』『砂の器』などの作品で知られる大作家・松本清張(1909~1992)。元編集者の宮田毬栄氏が彼に伴走した日々を語る。
宮田氏
松本清張氏が亡くなられて間もなく30年。41歳の遅い出発から82歳の死まで純文学、ミステリー、近現代史、伝記にいたる作品群は約1000篇。全力疾走した作家の巨大な実像には未だ行きついていない。
昭和34年、中央公論社に入社した私が最初に担当した作家が松本清張であった。10月に創刊される「週刊コウロン」連載の長篇推理「黒い福音」の担当に新人の私が起用されたのだ。題材は3月に起きたスチュワーデス殺し事件。容疑者がカトリック教会の神父という前代未聞の事件が関心を集めた。
清張さんとの教会周辺での取材は3回ほど。あとは自分の力で取材し記録するしかなかった。清張さんに「取材原稿がおもしろい」と言われた時の喜びは格別だった。単行本になった『黒い福音』の見返しに、清張さんは「この本の共同取材者」と書いて贈ってくださった。
松本清張
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source : 文藝春秋 2022年1月号