歴史探偵が若者たちに歴史を学ぶ意義を伝える
池上 私は教鞭を執っている東京工業大学で、現役の学生や卒業生たちと定期的に読書会を開いています。前回は半藤さんの『世界史のなかの昭和史』(平凡社)を取り上げました。この本は、スターリンやヒトラー、ルーズヴェルトにチャーチルといった第二次世界大戦時の指導者を中心にして、彼らの決断や行動が、昭和の日本にどのような影響を与えたのかを描いたものです。
この本を読書会で取り上げた理由は、歴史は暗記もので苦手だと考える学生が多いからです。現在、高校では世界史は必修科目ですが、日本史はそうではありません。そこで、読みやすい歴史書を取り上げて日本史、特に近現代史をきちんと学ぼう、と考えたのです。
ことの次第を新聞のコラムで書いたところ、それを読んだ文藝春秋の編集者から「半藤さんを読書会にお招きして、学生と対話をする機会を作ってはどうですか」との提案がありました。本の著者に会って直接質問ができれば、学生たちにも大きな刺激になると考え、「ぜひやりましょう」と二つ返事でお受けしました。
半藤 皆さん、こんな厚い本を読んでもらって今日は有難う。実は、講演会のたぐいは全部お断りしているんです。ただ今回は10人くらいの学生さんを相手に質疑応答を中心にするというので、「若い方にはいろいろ伝えたいことがある」とお引き受けしました。私は東工大とはほとんど縁がないんですが、大学時代にボート部の選手として、全日本選手権でいっぺんだけ戦ったことがある気がします。私のチームの方が断然強かった。もちろん勝ちました(笑)。その程度のご縁ですが、よろしくお願いします。
一同 よろしくお願いします。
池上 では、まず半藤さんから、なぜこの本を書くことに至ったのかですとか、書きながら考えたことなどを話していただきましょう。
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source : 文藝春秋 2018年08月号