みずほ社長人事の裏で、三つ巴のEV戦線、光通信御曹司の介入

丸の内コンフィデンシャル

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日本の経済の中心地、東京・丸の内。敏腕経済記者たちが“マル秘”財界情報を覆面で執筆する。

★みずほ社長人事の裏で

 みずほフィナンシャルグループのトップ人事が決まった。坂井辰史社長の後任は木原正裕執行役・みずほ銀行常務が昇格する。また会長には副社長の今井誠司氏が就く。

 新社長の木原氏は、木原誠二官房副長官の実兄だということもあって、大きな注目を集めている。

「一橋大学出身で学生時代はアイスホッケー部の主将。ざっくばらんな性格で、日本興業銀行入行直後から幹部候補生とみられていた」(みずほ関係者)

 弟の誠二氏は東大卒で、大蔵省から衆議院議員に転じたエリートだ。木原兄弟の父親は銀行マン(東京銀行)、祖父はみずほ銀行の前身のひとつである第一銀行の役員、曾祖父も地銀(諫早銀行)頭取と、まさに銀行マン一家である。

 今回の指名委員会(甲斐中辰夫指名委員長)による新社長人事は、昨年11月末、坂井氏の辞任の意向表明を受けてスタートした。12月上旬には5人にまで候補が絞られ、年末までに木原氏、今井氏、梅宮真最高財務責任者(CFO)の3人が残ったという。最終的に「立て直しには思い切った若返りがふさわしい」として、平成元年入行の木原氏の指名に決着した。

 監督官庁の金融庁は、首脳人事に直接関与していないが、ある金融庁幹部は「我々の意向は昨年までに十分過ぎるほど、みずほに伝わっているはず」と語る。

 しかし、一方で、関係者の思惑も色濃く反映されている。甲斐中委員長は、「旧三行のバランスや興銀支配を考えず、適材適所で配置を考えた」としているが、旧興銀出身の木原氏が社長、旧第一勧銀出身の今井氏が会長と、バランス人事に変化は見られなかった。

 しかも別のみずほ関係者によると、一連の人事を主導したのは佐藤康博会長であり、「佐藤氏が甲斐中氏に働きかけて、旧興銀出身の後輩である木原氏の起用が決まった」。

「旧行意識の撤廃」が叫ばれて久しいみずほだが、先行きは不透明なままだ。

★三つ巴のEV戦線

 米ラスベガスで開かれたテクノロジー見本市「CES」で、ソニーグループ(吉田憲一郎会長兼社長CEO)は、EV(電気自動車)の新会社ソニーモビリティの設立を発表。EV開発の責任者である川西泉常務がオンライン取材で「(EVを)やることのリスクより、やらないことのリスクの方が大きい」と語った。

 ソニーは自動車に欠かせない画像センサーの有力なサプライヤーであり、これまでの産業界の常識にならえば、自動車メーカーに多くの顧客をもつソニーがEVに本格参入するのはタブーだった。しかし、自動車産業が歴史的な転換期を迎え、仮想空間へとビジネスが拡大する中、ソニーの可能性は大きく広がる。

 ソニーは2018年からEVの開発を始め、20年に試作車「VISION-S」を公開。今年のCESでは周辺環境や運転手の動きなどを捉えるセンサーが40個ある新たな試作車を披露した。自動運転を見据え、高速通信規格「5G」を採用している。

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source : 文藝春秋 2022年3月号

genre : ビジネス 企業