上場を契機に「鉄道一本足打法」から脱却する
「ようやくここまで来た……」
昨年10月23日、東京証券取引所で行われた上場セレモニーで、「カーン、カーン」と、鐘を鳴らした瞬間、そんな感慨がこみ上げてきました。パリ五輪でやり投げの北口榛花選手が金メダルを獲った直後、競技場で鐘を鳴らしていましたが、私もやはり特別な想いを抱きました。北口選手ほど大きな音は出せなかったものの、力を込めて、気持ちよくやらせてもらいました。
社長に就任したのは2017年6月です。しかし、20年に始まったコロナ禍による乗客の減少で、売上高が激減。上場に至るまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。
東京地下鉄(東京メトロ)の東証プライム市場への上場は、2024年で最大規模だった。国と東京都で100%保有していた株をそれぞれが半分ずつ売り出すと、買い注文が殺到。1200円の売り出し価格に対し、初値は1630円を付け、時価総額は1兆円を超えた。営団地下鉄の民営化から20年。歴史的な上場を経て、東京メトロはどう変わるのか。
上場しても、これまで当社が大切にしてきた安全性や定時運行、清潔さといったサービスはこれからも最重要です。ただ、当社の取り組みや今後への期待が株価という形で「見える化」されたことは大きい。私も毎日株価をチェックする習慣ができて、値動きを見ながら励みにしています。上場後の2カ月は1600円から1700円台で推移していますから、期待の高さを実感しているところです。
上場をめぐっては、長きにわたり議論が重ねられてきました。契機となったのは、1980年代後半に行政改革の一環で進められた特殊法人等整理合理化計画です。三公社と呼ばれた国鉄と電電公社、日本専売公社が民営化され、自立経営に努めるようになりました。それを受けて、営団地下鉄も民営化へと歩みを進めることになったのです。
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